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【国・ミ】ネタバレ「精神分析」水上呂理

  • w-pegana
  • 2015年12月12日
  • 読了時間: 3分

※本ページはネタバレありです!

 また、下要素もあるのでご注意!!

一番初めの写真移動、そして謄本への悪戯の真相は呆気ないものですが、その後のお照服毒事件が、お照の自作自演と見せかけて、実は美須子(翠川の妹)が裏で唆していたという二段構えは、当時の作品としては中々面白いです。

では何故、翠川の妹である美須子が彼の縁談の邪魔をしたのかと云うと、そこに背徳的感情はなく、美須子は単に神経症だったのだと青柳は云います。

そして、頑張って家で調べてきたのでしょう、彼の口から語られる彼女の神経症の症候の数々がいろいろと衝撃的です。

まず、寝る際に時計を全部部屋から出してしまう行為。

安眠のためと思われたその行為は、実は時計は女性器の象徴で、彼女はそれを範疇から追い出そうとしたのでした。

時を刻む時計は、周期的に巡ってくる月経を連想させるとのこと。

うん、分かる

美須子の時計を追い出す行為は、月経が正しく巡って来ないことから始まったのだそう。

次に、部屋の至る所にある花瓶や植木鉢をテーブルの上の一か所に集める行為。

これは、夜中に花瓶などが落下して睡眠が妨げられるのを防ぐためではなく、精神分析によれば、花瓶などはそのくぼみや孔から、これまた女性器を連想させるとのこと。

その花瓶の落下を防ぐということは、何ものかによって処女性が脅かされることから保護しているという。

うん、まだ分かる

そして、極めつけは横に二つ並べた枕の中央に頭が来るようにして寝る行為。

これは「枕と枕の合わせ目のくぼみは××の××を意味している。そしてそこへ行く自分の頭は××の××の役目を勤めているのだ」(角川文庫版、P71)

(えっ、なんだって?)

さらに、枕の羽を一度寄せて膨らみを作り、また直すという意味のなさそうな行為。

膨らみを作るのは妊娠を意味しており、それを直すのは逆に妊娠を否定しているとのこと。

いや、さっきの…

ということで、美須子の神経症とは思春期の性への目覚めが原因であり、一番身近である兄(翠川)に男性を感じていたため、彼の縁談を邪魔するようなことをしたのでした。

一応フォローしておくと、枕二つ並べて云々という行為。

前半部分で青柳がこれを目撃した際に、彼なりに「未だ居ぬ恋人を想って、枕を二つ並べているのだろう」と、一見それらしい分析がなされている点が巧いです。

最後の最後に青柳が、美須子の性への関心を鎮めるには、正当の結婚をすればいいんだよ、とか云って、ちゃっかり自分が結婚してしまうというオチ付き。

いろいろとすごい作品でした。

 
 
 

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