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【国・ミ】ネタバレ「葦」登史草兵

  • w-pegana
  • 2015年12月13日
  • 読了時間: 2分

※本ページはネタバレありです!

葦の原が目の前に現れ、謎の女と会話した「私」。

終点のA町へ着くと、ある男が、

「あなたは今、誰と話していたのです?」

と尋ねてきたことから、謎の女が幽霊であることが早々に分かってしまいます。

その後、「私」、三保新吉が、かつて暮らしていた北海道へ何故やってきたのかが語られると、これまた、女が三保を呼び出した有坂ゆう子であることも何となく読めてしまいます。

誰も住んでいないという小島まで女が付いてきて、「待ち合わせをしている」とまで云わせてもなお、女の正体に気づかず、「あなたもですか!」なんて云う三保の鈍感さと云ったらもう…。(笑)

ようやく、女がゆう子であることを知り、彼女の辛い人生を聞かされたのち、共になることを選ぶのは、ハッピーエンドのようで微笑ましいのですが、やや早急すぎる気もします。

登史草兵の魅力を1ページ目から読者を惹きつける筆力と再三云ってまいりましたが、本作では却ってそれが裏目に出ているような気もします。

瞬発力があり過ぎる故に、段階踏んで徐々に盛り上げて行く作品とはあまり相性が悪いというか。

一応は、三保から過去が語られ、いかにゆう子を想っていたかと物語られるわけですが、そこにいまいち根拠が見出せず(実際、三保は他の女性とも恋仲になっているようですし)、若かりし頃の恋心で、生の世界から離脱することを決心するには、少し説得力が足りない気もします。

とはいえ、今となってはありがちな、会話の相手が幽霊だったという怪談めいた始点から、(特に「蝉」のような話を読んでいると)ある意味意表を突く幻想的なラストは一読の価値があるのかもしれません。

ちなみに、題材になぜ葦が採られているのかをいろいろと調べてみたのですが、いまいち分からず。

短歌では葦を題材にした歌がいくつも詠まれているそうで、登史草兵の経歴(「蝉」紹介ページ参照)を考えると、そのあたりにヒントがありそうです。

 
 
 

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